異種データ連携・可視化のためのFIWARE を活用した効率開発フレームワークの研究(渡邊)

背景

 情報化社会が進行するなか、様々な場所に蓄えられたデータを活用することで社会を豊かにする方法が模索されています。そのような背景をもとに政府や自治体の情報公開・活用に対する意識が高まっており、保有するデータをオープンデータ として公開する動きが広まっています。

 しかしながら、データの様式や公開手段が自治体ごと異なるという課題や、高度な分析やアプリケーション活用には高い専門知識が必要であるという課題が存在しており、一般市民にとっては依然としてハードルが高く、社会全体での積極的な活用・流通には至っていません。これらの課題から、近年ではデータ活用のためのプラットフォームの研究開発が進んでいます。なかでもオープンソースのプラットフォームであるFIWARE は世界中の様々な都市で実証実験が進められるなど注目を浴びています。

取り組む課題

 公共データは国民共有の財産という考えのもと公開されているオープンデータであるが、これを十分に活用するには少なからず専門知識が必要であり、現状誰もがその財産を活用できているわけではありません。

 例えば、一つの街の人口推移を可視化したいという要求があるとするとその要求を満たすために

  1. オープンデータのダウンロード
  2. データの解析・加工
  3. データの可視化

を行うツールを探す、あるいは開発する必要があります。

 さらに、公開されているデータの形式の違いによるデータ統合の難しさという問題点があります。オープンデータの要件は機械判別可能な構造・形式であることですが、データの構造や意味、フォーマット等の様式を厳密に決めるものではなく、これらは自治体に任されています。これらを連携・統合するには,さらなる処理が必要となります。

目的とアプローチ

本研究では特にデータ可視化に焦点を当て,FIWARE を活用して異種データの連携およびローコード開発を実現し,データ可視化という活用分野における上記の課題を解決することを目指しました。一般にオープンデータの利活用の目的は利用者ごとに異なるため、我々は利用者が自身の目的に応じたデータ可視化を行える体系的な枠組み(フレームワーク)を提案しました。

提案手法

 FIWARE を活用した異種データのローコード可視化を実現するフレームワークを以下のように提案しました。

全体アーキテクチャ

ケーススタディ

提案手法の利用例を複数の自治体にまたがった広域避難所マップを作成するケーススタディとして示しました。