ゲーミフィケーションを活用したゼロカーボン運動推進のためのWebアプリケーション開発(長谷)

ゼロカーボンシティ

近年,ゼロカーボンシティ実現を表明する地方自治体が増加しています.ゼロカーボンシティとは,地方自治体単位でゼロカーボンの実現を目指すことです.
ゼロカーボンとは企業や家庭からのCO2排出量 <= 森林によるCO2の吸収量にすることによって実質CO2排出量をゼロにすることです.

ゼロカーボンシティ実現のためには市民の参加が必要不可欠ですが,ゼロカーボンシティ実現を目指す地方自治体と市民の間には以下の問題があります.

  • ゼロカーボンの情報を市民に普及する手法が確立されていない
  • 市民はゼロカーボン達成のために何をすればよいかわからない

これらの問題によって,市民にゼロカーボン運動が浸透しにくい現状があります.

目的とアプローチ

ゼロカーボンシティにおける問題を解決するために,本研究ではゼロカーボンシティの達成を目指す地方自治体が市民にゼロカーボン運動を浸透させるための手法の確立市民がゼロカーボンに取り組むきっかけを作ることを目的とします.

そのためのキーアイデアはゲーミフィケーションを導入したWebアプリケーションを開発することです.
ゲーミフィケーションとは,サービスをゲーム化することによって,ユーザの好奇心をひきつける,行動を活性化させる,ユーザに良い利益をもたらすといったことを期待する手法です.

以下のアプローチと付随する機能を提案します.

  • A1: 市民に対してゼロカーボンの情報を提供できる機能の実現
    • F1: 管理者機能
    • F2: 記事
  • A2: ゼロカーボン運動に取り組みやすい仕組み
    • ゲーミフィケーションを活用
    • F3: ログイン
    • F4: ミッション
    • F5: クイズ
    • F6: レベル
    • F7: マップ
    • F8: ユーザの取り組みの可視化

さんだゼロカーボンチャレンジ

ケーススタディとして,実際に提案システムを兵庫県三田市において社会実装しました.
兵庫県三田市は2050年ゼロカーボンシティ実現を表明している地方自治体です.

具体的に,以下のようなコンセプトのアプリケーションを実装しました.

実証実験

動作テスト及びユーザ目線での各機能の評価・改善点の取得を目的に実証実験を行いました.実験は以下のように行いました.

以下は三田市が開催するイベントへのアプリ体験ブースの出展の様子です.

実験の結果,アプリのコンセプトやデザインが評価されました.操作性に関して問題点が多く見つかったため,各機能の改善を行いました.

アプリのリリース

2023年6月末から10月末にかけて兵庫県の三田市の職員様のご協力のもと,三田市民に対してさんだゼロカーボンチャレンジをリリースいたしました.(https://www.city.sanda.lg.jp/soshiki/41/gyomu/kankyo_hozen/energy/22433.html)

現在も稼働中ですが,300人以上の方に利用してもらうことができました.