在宅高齢者の自助支援に向けたエージェント対話ログ分析サービスの実装と評価(雲丹亀)
日本の高齢化
日本は超高齢社会に突入しており、高齢者を支える介護職員や社会保障費が不足しています。
このような背景から、政府は高齢者介護に関して、従来の施設介護から在宅介護へのシフトを進めており、高齢者とその家族には、「自助」を意識した取り組みが求められています。
先行研究とその課題
私たちの研究グループでは、仮想エージェントとの対話を通して、高齢者の心の内を記録する「こころ」センシングサービスを開発しています。
先行研究では、対話ログを検索して振り返ることや、対話ログに含まれる血圧や体重等の健康データの値をグラフで可視化することの効果が検証されています。
しかし、対話ログの検索機能は条件による絞り込みにとどまっており、蓄積された対話ログを高齢者自身が十分に活用できていませんでした。
また、健康データのグラフは研究者が作成して提示しており、高齢者自身が自由に確認できませんでした。
目的とアプローチ
これらの課題を解決するために、本研究では、
- 条件で絞り込んだ対話ログ数の推移を確認できるようにすること
- 高齢者自身が健康データを振り返れるようにすること
の2つを目的とします。
そして、これらの目的を実現させるために、エージェント対話ログ分析サービスを提案します。
提案サービスは、F1(対話ログの検索)、F2(健康データの確認)の2つの機能で構成されます。
サービスの実装
提案サービスを、Webアプリケーションとして実装しました。
機能F1:対話ログの検索
機能F2:健康データの確認
サービスの評価
実装したサービスを実際に高齢者に利用してもらい、アンケートを実施しました。
その結果、対話ログの分析を通して、体調や生活に関する発見ができること、また、自分自身の健康に対する意識を向上させることが確認できました。